総会長挨拶
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は社会のあらゆる活動に大きな影響を与えています。学会活動も例外ではありません。with coronaを前提とした新しい日常における学術総会のあり方について模索してきました。
第63回日本腎臓学会学術総会を本来は本年6月に予定しておりました。しかしながら感染拡大を受けて、8月に延期を余儀なくされました。いったんは収束傾向にあったものの、現在は第2派が到来し全国に拡大しています。いつまでも先は見通せません。果たしてこのような状況で学術総会を開催することが許容されるのか、自問してきました。
ITと通信技術の発展により、技術的にはvirtualな形態での学会総会の開催も可能です。実際に人が集いコミュニケートする意義はどこにあるのかを問うてきました。プログラムの多くをオンデマンド方式へ移行し、一部の緊急性のあるプログラムを現地で開催するhybrid形式で開催することに決定しました。COVID-19感染拡大の逼迫した医療現場で得た経験、知見を共有し、第二波以降に備えるべく複数のシンポジウムも企画しています。
学術総会の開催には多くの方々が関与しており、方針の変換は容易ではありません。状況は刻刻と変化しており、この決断が最適解であったのかどうか、die is cast, 後日、審判を仰ぎたく存じます。感染収束には数年を要すると見込まれています。収束後に元に戻るのではなく、新しい学会活動の在り方の模索の端緒を開きたく願っています。
開催形態の変更により会員各位に多大なご迷惑をおかけいたしましたこと、お詫び申し上げます。各地で医療崩壊を食い止めるべく、COVID-19に対峙し奮闘されておられます会員各位のご無事をお祈りしております。
先行きが不透明な状況の中で、最善の準備を行うよう努力してまいります。何卒、事情をご勘案いただきご理解くださいますようお願い申し上げます。
第63回日本腎臓学会学術総会
総会長 柏原 直樹
川崎医科大学腎臓・高血圧内科学 教授